犬の噛み癖の理由と効果的な対処法

先ず初めに知っておいて欲しいことは、犬は「口を使ってコミュニケーションを取る動物」だということ。人が器用に手を使うように、そして、言葉を使って気持ちを伝えるように、犬は口を使ってそれらを表現しているのです。

「噛む」=「いけないこと」と決め付けてしまうと、愛犬が何を伝えたいのか?がわからなくなってしまいます。大切な愛犬からのメッセージを感じ取れる飼い主になりたいと思いませんか?

ここでは、犬の噛み癖についてや、それについての対処法をお伝えしていきたいと思います。

もくじ

犬の噛み癖について

「噛み癖になる前にやめさせましょう」とか「ウチの犬、噛み癖が酷いんです!」と仰る方がいらっしゃいますが、噛むことは「癖」ではありません。先にも述べたように、噛むことは、犬にとっての感情表現であり、自然な行動です。犬はただ、何かのメッセージを伝えているのです。

そして、もしも同じような場面で犬が噛むことがあるのなら、

  • 噛んだら(犬にとって)、良いことがあった
  • 噛んだら(犬にとって)、嫌なことが終わった

という、噛んだことで何か、犬にとって良いことがあったという「学習」によるものなのです。

そして、犬は「噛むことでメッセージを伝えている」ならば、犬が噛むということには、場面も含めて様々な理由が考えられるということ。「噛み癖」と片付けてしまう前に、大切な愛犬からのメッセージを受け取って、愛犬と上手に会話をしながら、お互いが気持ちよく暮らせる関係を築いていきたいですね。

犬の「甘噛み」と「本気噛み」の違い

犬が「噛む」ということには、様々な理由が考えられるとお伝えしましたが、大きく分けて2種類になるかと思います。その2種類とは、一度は耳にしたことがあるかと思う「甘噛み」と「本気噛み」です。「甘噛み」と「本気噛み」と区別されていますが、この2つの違いは、ご存知でしょうか?それは、愛犬が出しているメッセージが違うのです。この違いを、噛まれた時の痛みで判断している方もいらっしゃいますが、痛みの感じ方は人それぞれ、なので、定義にはなりません。では、何が違うかと言うと、

  • 甘噛み=「遊ぼう!」「かまって!」→『遊ぼう噛み』
  • 本気噛み=「止めて!」「嫌だよ!」→『止めて噛み』

と言うことになります。

このメッセージを理解してから、愛犬の噛む場面や様子を見て見ると、愛犬が遊びたいのか、それとも止めて欲しいのか、感じ取れるようになってくるかと思います。『遊ぼう噛み』なら遊んであげれば良いですし、『止めて噛み』なら止めてあげれば良いのです。ただ、どうしてもやらなくてはいけないことは、愛犬が『まぁまぁいいよ』くらいにやらせてくれる手段を見つけてから、段階を踏んで、上手にお願いすることが大切です。

甘噛みに関しての参考記事↓↓↓

犬が甘噛みをする理由と必要な対処法3

犬の「本気噛み」について

犬の本気噛みはモンダイ行動なのか?

本気噛み=『止めて噛み』は、モンダイ行動なのでしょうか?

例えば、「犬を撫でようとしたときに噛む」となったとき、それはモンダイ行動なのでしょうか?もしかして「犬という動物は、撫でられることが好き」だと、思い込んでいませんか?でもこれも、犬それぞれ。撫でられることが好きな犬もいれば、撫でられることが嫌いな犬もいるのです。そして、ある程度まで撫でられていても『そろそろ止めて欲しい』となる犬もいます。飼い主さんにとっては「突然噛んだ!」と言う場面も、『そろそろ止めて欲しい』というメッセージを、受け取れなかっただけなのかもしれません。

もしもあなたが、嫌なことをされたとき、どうしますか?「止めて!」と言いませんか?するとしてら、犬には「止めて!」という権利はないのでしょうか?愛犬と「止めて!」と言えない関係を築きたいですか?

犬の本気噛みは攻撃行動なのか?

本気噛み=『止めて噛み』は、攻撃行動なのでしょうか?

例えば、「頭を撫でようとしたら噛む」となったとき、その犬にとって「頭を撫でられる」ということが「嫌」なだけなのです。頭を撫でられることが嫌なだけなのに、それを攻撃行動だと言うことは正しいのでしょうか?そして、もしも攻撃行動という言葉を使うとしたら、嫌なことを無理にしようとしているのはどっち?

先に攻撃しているのは、人と犬、どちらなのでしょうか?

犬の「止めて噛み」のしつけ、基本編

噛ませないことが何より大切!

本気噛み=『止めて噛み』は、「噛む」という行動が出る前に、いくつかのサインが出ています。

  • 「唸る」
  • 「マズルに皺を寄せる」
  • 「歯を剥き出す」・・・など

この段階で気付いて止めていれば、「噛む」という行動を引き出さずに済むこともあることから、愛犬からのメッセージを感じ取ることは、とても大切なことになっていきます。もしも愛犬が、唸ったり、マズルに皺を寄せたりしたなら、『そろそろ止めて欲しいなっ』と言うメッセージなのです。それを感じ取ったなら『教えてくれて、ありがとう!』と飼い主さんも噛まれなくて済むでしょうし、愛犬にとっても、自分のメッセージを感じ取ってくれる飼い主さんは、安心できる存在になっていくかと思います。

まさか、「唸ってはいけない!」なんてことには、ならないですよね。

犬が噛むほど嫌なことをする必要が、本当にあるのかを見極める!

愛犬の「止めて!」のメッセージを感じ取ったとき、今やろうとしていることは、本当に必要なことなのか、もう一度考えてみてください。

例えば、「ご飯を食べているときに近付くと唸る」となったとき、その犬にとって「ご飯を食べているときに近付かれる」ことが「嫌」なのです。犬が嫌だと伝えてくれていて、飼い主さんもそれに気付くことができているのに、ご飯を食べているときに近付く必要があるのでしょうか。

安心して食事ができることは、人にとっても犬にとっても大切なことだと思います。それには先ず、安心して食事ができる環境を整えてやること。その先に安心感が生まれ、人が近くを通っても唸らなくてもいいんだと、犬自身が感じてくれるからこそ、唸るという行動は減ってくるのではないでしょうか。

犬の「止めて噛み」のしつけ、実践編

その前にもう一度、確認したいこと

  1. 犬は何に対して「止めて!」と言っていますか?
  2. それは、どうしてもやらないといけないことですか?
  3. 愛犬の大好きなものを見付けてあげていますか?
  4. 飼い主さんが恐くなっていませんか?

参考:http://markandreward.com/resource/dr-ian-dunbars-dog-bite-scale-jpn

準備をする

  1. 飼い主さんの気持ちの余裕
  2. 愛犬の大好きなもの

実践する

例)足ふきをする

1)愛犬がオヤツを食べている間にパパッと拭いて終わりにしましょう

2)乾いたタオルと濡らしたタオルを交互に歩いてもらいましょう(※動画はどっちも乾いたタオルです)

最後に

実践編の項を書くときに、『犬が噛むほど嫌なことをする必要があることって、何があるだろう?』と、正直困ってしまいました。ほとんどのことが、噛むほど嫌なことなら、しなくてもいいことになるのでないかと思っています。

犬に噛まれたときに驚くのは、普通のことだと思いますが、落ち着いたら、噛まれたときの状況をよく思い出して、愛犬が噛んで伝えたかったことは何だったのか?ぜひ考えてみてください。そして、どうしても避けられない場面だとしたら、愛犬が「まいっか!」と思えるような、ご褒美を用意してあげてください。

噛まれることは、人にとっても辛いことですが、噛むほど嫌なことをする人と暮らしていく犬にとっても、辛いことかもしれません。もう少し、犬の気持ちを理解してあげることに気をくばってあげても良いかもしれません。そして、自分たちだけでは恐くなってしまっている場合は、無理せず専門家を呼んでくださいね。

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