犬が甘噛みをする理由と必要な対処方法3選

はじめに、甘噛みに限らず犬は「口でコミュニケーションを取る動物」だと言うこと。噛むこと以外にも、吠えたり、舐めたり、唸ったり・・・。全ては犬の感情表現で、犬としては自分の気持ちを伝えているに過ぎない、当たり前の行動なのです。

「噛む」=「いけないこと」ではなく、実は愛犬からのメッセージだと言うこと。愛犬からのメッセージを受け取るチャンスなのです。大切な愛犬と、コミュニケーションが取れる飼い主になりたいと思いませんか?

ここでは、「犬が甘噛みをする理由は?」「犬が甘噛みをしてきた時はどうしたら良い?」「犬の甘噛みは止めさせた方かいい?」など、犬の甘噛みについての本当のところをお伝えしていきます。

 

もくじ

犬が甘噛みをする理由

甘噛みは全ての子犬がする行動です。しないとしたら、何かしらの問題を抱えている?しない方が不健全なのです。全ての子犬がする行動ならば、犬にとって意味のある、必要な成長過程だということ。甘噛みは、自然な行動なのです。

では、犬が甘噛みをする理由は何でしょう?大きく分けて3つの理由をお伝えします。

1)遊びのお誘い

兄弟犬や子犬同士が遊んでいる姿を見ると、お互いに甘噛みをし合って、ひっくり返したり返されたり、団子のようになって遊んでいます。甘噛みをしながらの遊びの中で、お互いに相手の反応を見ながら学習しているのです。甘噛みの力加減によって、楽しくなる子もいれば嫌だという子もいます。相手によって反応が違うことで、自然と噛む強さを調整したり、抑制したりを学んでいくのです。

このことから、甘噛みをする理由、甘噛みのメッセージは『遊ぼう!』だということがわかります。

甘噛みは、愛犬からの「遊ぼう!」のメッセージです。

★子犬同士の遊びを経験していない、子犬の場合

生後間もなく、母犬や兄弟犬と離され、早い時期から独りで過ごしてきた子犬もいます。

例えば、ペットショップから迎えた子犬は、早い段階から母犬や兄弟犬と離され、子犬同士で遊んだ経験が少ない、もしくはなかったことから、甘噛みの加減や抑制を知らない子犬もいます。知らない場合は、飼い主さんが教えてあげてくださいね。

2)好奇心

子犬の頃は、特に3ヶ月齢までの子犬は、好奇心に満ち溢れています。目にするもの全てが興味の対象であると言ってもよいでしょう。興味を持ったものを、噛んだり、嗅いだり、触ったりと、自ら確認することで、それがどんなものなのかを学習していくのです。

そして、興味を持つものも、犬それぞれです。破壊する程興味を持つものもあれば、一度の確認で興味がなくなることもあります。

どんなものが好きなのか、オモチャや素材など、愛犬の好みを知ることができるチャンスなのです。

また、子犬が人の手や足、洋服の裾やスリッパに甘噛みをしてくるのは、好奇心からの遊びのお誘いです。

3)作業意欲

子犬の頃は、家具をかじったり、ぬいぐるみの綿を出したり、色々なことにチャレンジして、その子が楽しいと感じたことに没頭します。人にとって困ってしまうことだったとしても、犬としては非常に優秀な、作業意欲の高い子だということになるのかもしれません。

 

甘噛みに困っている時の対処方法

甘噛みをする理由が「遊ぼう!」だとわかっても、子犬の歯は小さく、とがっているので、遊んであげることを躊躇したり、やめさせなくてはいけない、と思ってしまう人もいるようです。

でももし、あなたが「遊ぼう!」と誘われた時、なんと答えますか?遊べる時は「遊ぼう!」だし、遊べない時は「ちょっと待ってね~」と、なるのではないかと思います。

ここでは、「甘噛みを止めさせる」という視点ではなく、「甘噛みをする、愛犬の気持ちを満たす」という視点で、甘噛みへの対処法をお伝えしていきます。

1)遊びのお誘いで甘噛みしてくる時の対処

子犬の体を撫でたり触ったりと、子犬の近くで様々な動きをする手は、子犬にとってとても興味が湧く対象になります。ただ、飼い主さんによって、「痛くなければOK」とか「ちょっとでも歯が当たったらダメ」とか、受容範囲は様々かと思います。「素手で遊びます!」とおっしゃる飼い主さんはそれでも良いかと思いますが、痛みが気になる飼い主さんにもオススメしているのが、パペット遊びです。

両手にパペットをはめて、甘噛みをしてくる子犬と遊んでみてください。片方は犬の顔周り、もう片方は犬のお尻周りをチョイチョイっと、誘ってみてください。代わる代わる現れるパペットに、仔犬も忙しく遊んでくれるでしょう。

この時、注意して欲しいことがあります。それは、遊ぶ相手の犬と同じくらいの力加減で遊ぶということ。

子犬同士が遊んでいる姿をイメージして、その子にとって心地よい力加減で遊んであげてください。弱すぎるとつまらないし、強すぎると恐い思いをさせてしまうかもしれません。

そして何より、飼い主さん自身が楽しんでくださいね!

★子犬同士の遊びを経験していない、子犬の場合

噛み加減を知らない子犬に教えてあげる時にも、このパペット遊びは人気です。ぜひ、試してみてください。

また、パペット遊びを好まない子犬もいます。そんな時は、その子が楽しんでくれる、他の遊びで遊んであげてください。

その他の遊び

「追う、噛む、咥える、振り回す、ちぎる」など、狩猟本能を刺激するような要素を含んだ遊びをしてあげると、楽しんでくれる犬も多く、満足度も高くなります。普段の生活からは見られない、犬らしい愛犬の姿や、ほかの子にはない愛犬の魅力を発見したり、飼い主さんにとっても楽しい時間になるかと思います。

子犬の頃に、必要な遊びを通じて学びを得ることは、その子の成長にとっても、とても大切な基盤作りになっていきます。遊びを通じて楽しい時間を共有することで、飼い主さんとの信頼関係を築いていくことにもつながります。その子が安定した成犬に成長していくことに、とても大切な要素になるでしょう。

2)好奇心での甘噛みの対処

子犬の頃は、何でも口に入れて噛んで確認することから、成長段階の過程であり、健康な子犬であれば自然な行動だと言えます。

子犬の頃に必要な経験を積むことで、成長につれて、個体差はありますが、その頻度は減っていきます。飼い主さんの受容できる範囲で、犬としての行動を見守ってあげてください。

ただし、犬が口に入れては危険なものは、犬が届かないところで保管してください!

誤飲は命に関わります!

犬にとって中毒性のある食べ物、チョコレートやネギ類、ぶどうなどや、ピアスやペットボトルの蓋、ベッドやぬいぐるみの綿などは、犬の命を守るために、犬が届かないところに置くということを徹底してください。

 

3)作業意欲での甘噛みの対処

子犬が家具をかじっている姿を見たら「コラーっ!」と言ってしまいそうですが、人目線と犬目線は違います。

例えば、愛犬がテレビボードの角を噛んでいたとして、

  • 人にとっては、「テレビボード」
  • 犬にとっては、「齧ると楽しいもの」 なのです。

同じく、ぬいぐるみを振り回して破り、中の綿を噛み出していることも、

  • 人にとっては「破壊」
  • 犬にとっては「作業」 なのです。

仔犬の頃は特に、遊びの中からたくさんのことを学習していく時期です。家具を齧っているようなら、暇なのです。たっぷり遊んであげるか、遊んであげられない時は、家具を囓ることより楽しいと感じる、齧っても良い、安全なオモチャを与えてあげてください。

 

甘噛みに対する、よくある質問

甘噛みは本気噛みにつながるの?

結論から言って、甘噛みは本気噛みにつながりません。なぜなら、甘噛みと本気噛みは、犬が出しているメッセージが違います。そしてそれは、脳の回路から違うのです。

「甘噛みだと思って遊んでたら、本気で噛んでくるようになった」というお話を聞いて、実際に見せていただくと、甘噛みだということもよくあります。「遊んでいたら楽しくなっちゃって、興奮してきて、噛むのが強くなっちゃった」というだけ。「飼い主さん、遊ぶのとっても上手で~す!」ってことだったりするのです。

甘噛みが痛いときは、どうしたら良いの?

痛かったら「痛い」と言えば良い、それだけです。

大袈裟に「痛い!」と言ったり、子犬が怖がるほどの大きな声を出したりする必要はないのです。そもそも、「大きな声で痛い!と言わなければ!」と思いながら遊ぶって、楽しいですか?

痛い時に思わず出てしまった「痛い!」。本心からの「痛い」だから伝わるんだと思います。

 甘噛みを放っておいたら、いつか止めるの?

甘噛みのメッセージは「遊ぼう!」なので、成犬になっても、老犬になっても、遊びたくなったら甘噛みをします。

ただ、成長に伴い、遊びたい気持ちが落ち着いてきてしまうので、いつまでも子犬の時のようには、甘噛みで誘ってくれません。今は大変な思いをしているかもしれませんが、成犬や、ましてや老犬になってまでも、甘噛みで誘ってきてくれたら、子犬の頃を思い出したり、愛犬と積み重ねてきた関係性を思い、愛おしい!気持ちでいっぱいになるのではないでしょうか。

放っておいても、自然と減ってきてしまうものです。子犬のうちにたっぷり遊んで、楽しんでおいてください。

他の人に甘噛みするときは、どうしたら良いの?

初対面の人に甘噛みができると言うことは、その子犬は、とても社交的だと言うこと。初めて会った人に『遊ぼう!』と誘える、とても自信を持った安定した子犬なのです。

相手の方に「遊びたいそうです!」と子犬のメッセージを通訳してあげれば良いと思います。本当に犬が好きな人であれば、喜んで遊んでくれると思います。そして、初めての人への甘噛みは、子犬も相手の様子を確認しながらするので、それほど心配することはないように思います。もしも、相手の方が痛いと感じるほど甘噛みが激しくなったとしたら、その方「とっても遊ぶのが上手ですよ~!」と言うことです。また、痛みが気になるようであれば、オモチャを使って遊んでもらってくださいね。

ただし、あなたの通訳を聞いてくれそうもない方だったり、犬が苦手な方には、そもそも近付けない配慮も必要です。犬と暮らす人として、マナーにも気を付けていきたいですね。

最後に

お伝えしてきたように、甘噛みをすると言うことは、犬にとって自然な行動です。

人間の赤ちゃんも、興味が湧いたものは何でも口に入れてしまいます。口で確かめるという行動は、発育段階において健全なことだと、皆さんご存知なのではないでしょうか。そして、オモチャや親の手を舐めたり噛んだりする時期には、口にするものを清潔に保ったり、こちら側で出来る工夫をするのではないでしょうか。「叱ってやめさせる」と記した育児本は、ないように思います。

人と犬、脳の作りはほぼほぼ一緒です。なので、発達の過程においても大きな違いはないと思います。色々なことに興味を持って、自分から確認することができるのは、正しい成長過程を歩んでいることでもあるのです。

あっという間に過ぎてしまう子犬時代を、たくさん遊んで楽しんで、大切に過ごしていただけたらと思います。成犬になっても、ましてや老犬になっても、甘噛みのお誘いを受けたなら、なにものにも変えられない、幸せな時間になりますから。

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