子犬を家族に迎えたら ~しつけより大切なこと~

子犬を家族に迎えたら、特に、初めて犬を飼うという方は、「いい子に育てなくては!」とか「しつけは初めが肝心!」と、しつけに対しての関心が高まるように感じます。

しかし、本当に一番大切なことは「しつけ」なのでしょうか?

ここでは、子犬を家族に迎えたときに、飼い主さんにお願いしたい、しつけ以前に大切な、子犬との関係作りや子犬との過ごし方について、お伝えしていきたいと思います。

飼い主さんにとって、愛犬が更に愛おしい存在になってくれたら嬉しいです。

もくじ

1)子犬の「しつけ」の前に、基本的なこと

「たっぷり食べて、しっかり出す。たっぷり遊んで、しっかり寝る。」

この4つが、子犬期に必要な基本的なことです。もしも今、この記事を読んでいるあなたのとなりで、子犬が『遊んで!』と言っているならば、今すぐスマホを置いて、子犬と遊んであげてください。情報収集も必要なことですが、あなたを求めている子犬と過ごすこと以上に、大切な時間はないと思います。情報収集は子犬が寝ているときにするくらいで、十分です。

子犬がどんな子なのか、観察する

犬との暮らしを楽しみにしていた飼い主さんにとって、愛犬を家族に迎い入れたことは、喜び以外の何ものでもないでしょう。愛くるしい姿に、抱っこしたり、話しかけたり、夢中になってしまうかと思います。

しかし、子犬にとっては、親犬や兄弟犬と離れて、一人になってしまった不安に、初めての場所、初めての匂い、初めての音など、初めて尽くしの一日です。浮き足立ってしまう気持ちと共に、少し落ち着いて、愛犬の様子を観察してあげてください。

もしも、疲れているようなら、ケージで休憩してもらいましょう。もしも、元気そうなら、少し探検してもらいましょう。もしも、恐がっているようなら、ケージから様子を見てもらいましょう。

子犬の様子を感じ取れることは、これから愛犬との関係を作るうえで、とても大切なことになっていきます。そして、自分のことをわかってくれる飼い主さんの存在は、愛犬にとっての安心にもつながっていくのです。

2)子犬の「しつけ」の前に、スキンシップ

子犬を迎い入れてからしばらくの間は、自己紹介の期間です。
あなたが子犬に接したように、子犬はあなたを認識していきます。

あなたは子犬に、どんな人だと思われたいですか?
優しい人?楽しい人?厳しい人?

オスワリやフセなどのトレーニングは、健康であれば、いくつになっても教えることができます。
先ずは、子犬にとって「安心できる人」「楽しい人」になってあげてくださいね。

ハリー・ハーローのアカゲザルの実験

アメリカの心理学者、ハリー・ハーローが「愛とは何なのか?」と行ったのが、アカゲザルの実験です。この実験を通して「本当に必要な愛とは何なのか?」を、感じて頂けるかと思いますので、ご紹介したいと思います。

この実験で用意されたのは、

  • 針金製のミルクが出る代理母
  • 柔らかい布で包まれた木製のミルクが出ない代理母

この代理母のもとで育てた子猿が見せた行動は、ミルクを飲むとき以外のほとんどの時間を、柔らかい布で包まれた代理母に抱きついて過ごしたということ。更に、初めは恐怖と感じた対象にも、柔らかい布で包まれた代理母で育った子猿は、時々代理母のところへ戻りながら、徐々に恐怖を興味へと変えることができました。しかし、針金製の代理母のみで育った子猿は、一箇所にうずくまり恐怖を克服することはできなかったそうです。

このことから、心身の成長に必要なのは「温かいスキンシップ」だということがわかりました。

子犬に必要なのは、スキンシップ

ハーローのアカゲザルの実験からもわかるように、子犬の成長に必要なのは「温かいスキンシップ」です。飼い主さんの温もりを、全身で感じ取ることで「ぼくは、わたしは、愛される存在なんだ」と、絶対的な安心感、そして自信を育てることができるのです。

子犬を家族に迎えたときに「1ヶ月はケージの中で生活させましょう」なんていう話もありますが、冷静に考えればおかしいことに気が付くのではないでしょうか。

そして、大切なのは「温かいスキンシップ」です。力が強すぎると子犬を怖がらせてしまうこともありますので、子犬が心地良いと思う力加減で、触ってあげてください。目安は、子犬が出してきた強さと同じくらいの強さで触ること。子犬が生活に慣れてきたら、少しづつ力も強くなってくるかと思います。その変化も感じてあげてくださいね。

ハーローの実験 その後

柔らかい布で包まれた代理母で育った子猿、順調に育っていったと思ったら、その後、正常な育ち方をしなかったそうです。成長が進むにつれ、自傷行為が見られたり、交尾の仕方がわからずオスに攻撃するメスもいたそうです。

実験は続き、効果が見られたのは、本当の母猿に育てられた、同じくらいの年齢の子猿と遊ばせること。お互いに噛み付いたり、噛み付かれたりしながら、適切なコミュニケーションが取れる猿に育っていったということでした。

このことから「他者とのコミュニケーションを取ることも大切!」ということがわかりました。

子犬に必要なのは、適度な遊び

ハーローのアカゲザルの実験からもわかるように、子犬に必要なのは「適度な遊び」です。飼い主さんと一緒に、オモチャ遊びや追いかけっこをすることで子犬は、楽しい時間を過ごせる飼い主さんのことが大好きになり、コミュニケーションが取れる関係を築いていくことができるでしょう。

大切なのは「適度な遊び」です。家に来たばかりの子犬は免疫力が落ちていることもありますので、子犬の体調を見ながら、遊んであげてください。目安は、ケージから出すのが、1回30分以内。子犬が新しい生活に慣れて、体調も安定しているようなら、少しづつ出す時間を長くしていっても良いと思います。

そして、子犬の心を育てる大切な時期です。子犬がケージから出ている間は、テレビやスマホを見ながらではなく、全力で子犬と向き合ってあげてください。

3)子犬の「しつけ」の前に、しっかり睡眠

基本的なことでもお伝えした通り、子犬期は、しっかり眠ることも大切です。

子犬を迎えたばかりの時期に、寝ている子犬を起こしてまでも、スキンシップや遊びをしてしまうと、子犬の心身の発育に必要な睡眠をとることできません。子犬が寝ているときは、そっとしておいてあげましょう。目安として、1日の3分の2くらいは寝かせるようにしてください。

子犬が新しい生活に慣れて、体調も安定しているようなら、少しづつ出す時間を長くしていっても良いでしょう。

「たっぷり遊んで、しっかり寝る」としたように、ON&OFFを付けてあげることも大切です。めいいっぱい遊んだ後は、ケージに入って休むようにしてあげると、子犬もゆっくり休めるでしょう。

ケージは子犬にとって「安心」できる場所

子犬が安心して過ごせるように、基本的には家族みんなが過ごすことの多いリビングに、ケージを設置することをオススメします。家族の声や匂い、何気ない生活音を聞きながら過ごすことで、新しい家族の生活に慣れ親しんでいくことになるでしょう。一般家庭の生活音程度でしたら、神経質になることもありませんが、テレビの近くや人の通りが多い場所では、子犬が疲れてしまうこともありますので、リビングの中でも比較的落ち着いた、家族の姿を見られる場所が好ましいかと思います。

また、ケージやサークルは、外から丸見えになるため、犬にとって落ち着ける場所と言うより、人にとって犬の管理がしやすいものだと思います。子犬がすやすや眠っているようであれば問題ないですが、飼い主さんが気になって見てしまったり、子犬が落ち着かないようであれば、半分タオルを掛けて暗くしてあげるなど、落ち着いて眠れる工夫をすることもオススメです。

最後に

日々成長していく子犬期は、慌ただしい毎日が続きます。

ただでさえ慌ただしいこの時期に、「○○しなければならない」などと「しつけ」に神経質になってしまうと、飼い主さんも愛犬も窮屈になってしまうかもしれません。
それよりも、「この子のことは丸ごと受け入れる!」と、子犬の成長をご家族と一緒に楽しんで過ごせたならば、その子の犬生をより豊かなものにしていくことができるのではないでしょうか。

相手は生き物です。誰かが言っていることが当てはまらないこともあるのです。
そんなとき大切なのは、「あなたがどう感じたのか。あなたがどうしたいのか。」ということです。溢れる情報に振り回されてしまわないように、お気を付けくださいね。

犬の一生は、思っているほど長くはありません。
家族の笑顔の中で、たくさんの「楽しい・嬉しい・大好き」を感じながら育ったならば、自信に満ちた、愛らしい子に育っていくでしょう。

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