これはNG⁈子犬の甘噛み、間違ったしつけ5選!
初めて子犬を迎えたとき、子犬がする「噛む」という行動に対して驚いたり、怖くなったり「やめさせなくてはいけない!」と思ってしまうかもしれません。これは、人間社会で「噛む」という表現を、なかなか使わないからでしょう。
しかしそれは、人と犬、種の違いから生まれる、表現方法の違いに過ぎないのです。
ここでは、溢れる情報の中から、よく聞く「甘噛みの対処法」についての注意点、問題点をお伝えしていきます。
もくじ
まず初めに知っておいてほしいこと
犬は「口を使ってコミュニケーションを取る動物」だと言うこと。人は言葉を話すことで、コミュニケーションを取りますが、犬はそれらを口を使って表現するのです。噛む以外にも、舐めたり、吠えたり、唸ったり、引っ張ったり・・・etc。なので、「噛む」=「いけないこと」と決め付ける前に、「何かメッセージと伝えてくれている!」と感じ、受け取ってほしいのです。
犬にとって「口を使って表現すること」は、とても大切なコミュニケーションツールのひとつだと言うこと。と言うことは、自分のメッセージを感じ取ってくれる飼い主さんは、子犬にとっても安心できる存在になっていくのではないでしょうか。
甘噛みのメッセージは『遊ぼう!』です!
甘噛みに対する、詳しい理由についてはこちら↓↓↓
間違いだらけの、子犬の甘噛みに対するしつけ
ここで紹介するしつけの方法は、子犬にとって、怖かったり嫌だったり、不快な思いをさせて止めさせる方法です。
これらのしつけ方法の根底には、犬は「主従関係」や「上下関係」を作る動物だと考え、人と暮らすうえでも、それらが必要だと考えられていた名残なのですが、現代において、その関係は「力や恐怖で押え付けるものではない」ということがわかっています。そしてそれは、他種を巻き込むものでもない。すなわち「犬が飼い主を下にみている」「犬が飼い主をバカにしている」なんてことでもないのです。
甘噛みだけではなく、犬がすることは全て、その時のその犬にとって必要なことであり、それを理解する(しようとする)ことで、家族として迎え入れた愛犬との生活が、より豊かなものになっていくことと思います。
これから紹介するような情報を知ったとき、それをするかしないかは、飼い主さんである、あなたの選択になってきます。愛犬とどんな関係を築いていきたいのか?しつけと称してこれらを行ったとき、愛犬がどんな気持ちになるのか?考えながら読み進めて頂ければと思います。
1)子犬の口の奥まで手を入れる
この方法は、子犬が甘噛みして来たら遠慮せず、口の奥にまで人の手を入れて、止めさせようとしているようです。
一度でやめてくれたなら、その子犬にとっては効果があったのかもしれませんが、繰り返し行なったり、その個体によっては一度で、より興奮を高めたり、手や飼い主さんを不快な思いと結びつけて、手や飼い主さんを嫌なものと学習してしまうかもしれません。
2)マズルを掴んで止めさせる
この方法は、子犬が甘噛みして来たら直ぐに、マズルを掴んで大人しくなるまで外さないことで、止めさせようとしているようです。
マズルは、犬にとって最大の感覚である嗅覚を含む、とても繊細な部分であり、そのマズルを掴むことは、子犬に対して不快感や不安感を与え兼ねません。また、子犬が不快感や不安感を示しているにも関わらず、大人しくなるまで外さないとしたら、子犬からのメッセージを受け取ることができているのでしょうか?
初めは「遊ぼう!」という甘噛みだったとしても、不快感や不安感を与え続ければ、「止めて!」という本気噛みに変わってしまう可能性もあります。
3)仰向けにして、押え付ける
この方法は、仔犬が甘噛みして来たら直ぐに、子犬を仰向けにして大人しくなるまで放さないことで、止めさせようとしているようです。
そしてこの方法は「仰向けになることが服従の姿勢」と思われていた時代の名残でもあります。でも、そもそも仰向けになることは、服従の姿勢なのでしょうか。ヘソ天(お腹を上に向けている状態)でお昼寝をしている犬は、服従している?飼い主を上に見ている?のでしょうか。安心しきって寝ているようにしか、私には思えません。
犬同士での遊びの中で、お腹を出す表現もありますが、それは犬が自ら取る行動であり、その理由も様々です。そして、犬同士だからその微妙な関係を感じ取れるものであり、種の違う人間がそれらの真似することはできないのです。
4)大きな声で「痛い!」と叫んで止めさせる?
この方法は、子犬が甘噛みをしてきたら直ぐに、大きな声で「痛い!」と叫ぶことで、子犬に「噛んではいけない!」と学習させようとしているようです。大きな音に敏感な子犬は、ビックリしてやめるかもしれませんが、ほとんどの子犬はより興奮して、より活発に甘噛みをしてくるのではないでしょうか。
そもそも、子犬は「痛い!」の意味を理解しているのでしょうか? 言葉は、人が使うコミュニケーションツールなのです。もしこの方法を使って「伝わらない」としても、当然なのです。「伝わらない」ではなく「伝えられていない」のです。
そして言葉を持たない犬たちは、もっと繊細に人のことを感じ取ってくれています。大げさに「痛い!」と言う演技よりも、本当に痛くて思わず出てしまった「痛い」の方が、その雰囲気から犬たちは、感じ取ってくれるのです。演技ではなく本心で、付き合ってみてください。
5)その場からいなくなる?
この方法は、子犬が甘噛みをしてきたら直ぐに、その場からいなくなることで、子犬に「甘噛みすると、大好きな飼い主さんがいなくなる」「楽しい遊びが終わってしまう」と学習させようとしているようです。しかし、「歯が当たったら、その場からいなくならなくては!」と思いながら遊ぶのは楽しいですか?もしも、あなたが誰かと遊んでいて、その人が他のことを考えていたら、全然楽しくないと思いませんか?
本当に痛かったら、自然に遊びが終わると思います。「~しなくてはいけない!」と思って遊ぶよりも、本当に痛かった時に「自然にその場から離れる」方が、犬たちは感じ取ってくれるのです。
子犬は楽しいことを見付ける天才です。あなたがその場からいなくなったとしても、直ぐに次の遊びを見付けて楽しんでいることでしょう。余計なことは考えず、全力で遊びたい盛りの子犬と向き合ってあげてください。
間違ったしつけ方法のデメリット
子犬との信頼関係構築の妨げ
子犬が甘噛みをする時期は、家族に迎い入れて直ぐのころから始まります。
子犬にとって、親兄弟と離れ、新しい環境に来て、ようやく安心できる場所だと確認できたから「遊ぼう!」と誘うことができるのです。そんなときに、子犬が不快になるとわかっている方法を、あなたは本当にやりたいですか?これから一緒に暮らしていくうえで一番大切な、信頼関係を築く時期に、子犬に不快な思いをさせてしまうということに、何か疑問は感じませんか?
モンダイ行動を生む危険
子犬に不快な思いをさせる方法の最大のデメリットは、効果が得られない場合「やり方がいけなかったのか?」「もっと強くするべきなのか?」と、どんどんエスカレートしてしまう危険があるということ。その結果、犬のためだと思って行ったしつけが、モンダイ行動を生んでしまうケースも少なくありません。
例えば、甘噛みをやめさせようと思ってマズルを掴んでいたら、顔の近くに手を近付けると唸るようになったり、仰向けにして押さえ込んでいたら、体に触れられなくなってしまったり・・・もしこれらの方法を試したとして、効果を得られないのであれば、その方法はあなたとあなたの犬にとって、無効なのです。冷静に判断してくださいね。
最後に
犬は、一緒に暮らしている人のことを、とてもよく感じ取ってくれます。愛犬と私は、鏡のような存在だと、感じることさえあるのです。と言うことは、優しい犬に育てたかったら、優しく育てればいいと思うのです。
あなたの手は、これから何年にも渡って、愛犬の体を撫でたり抱きしめたりする、大切な手なのです。そして、あなたの存在は子犬にとって、最高に安心できるものであってほしいのです。
可愛がるために迎えた命です。初めての子犬であれば、種の違いから驚くこともあるでしょう。しかし、犬にとっては意味があって、行っていることなのです。犬の行動を止めさせることに着目するのではなく、子犬の行動の意味を感じて、子犬の気持ちを満たしてあげることができたなら、最高のパートナーになっていくことと思います。成犬になっても、ましてや老犬になっても、甘噛みで遊びのお誘いを受けたなら、なにものにも変えられない、幸せな時間になりますから。
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